最近、テレビのバラエティや音楽番組を見なくなったせいなのか、若い歌手の事が全然わかりません。
ジャニーズのグループなんて読み方も分からないし、なんとか坂とAKBの違いも分からないのです。
孫たちに訊くと「じいじ、また〜? このあいだも同じこと訊いてたよ」なんて言われる始末。
そんな私が先日、たまたまカーラジオで聴いたのが「欅坂46」の「サイレントマジョリティー」という歌。
「へえ、すごい題名の歌を歌ってんだあ」と感心してしまいました。
サイレントマジョリティーとは「物言わぬ多数派」という意味で、ニクソン大統領が演説に使って一気に有名になった言葉です。
時は1969年、ベトナム戦争が泥沼化し、即時撤退を求める反戦運動が盛んな時代でした。
――声高にデモを繰り広げているのは少数にすぎない。
多くの国民は静かに国の方針に賛成している。――
愚かなニクソンはそう判断し、戦争を続ける決意を表明するのです。
物言わぬ多数派はベトナム戦争に本当に賛成していたのだろうか?
「声を上げない」ことは為政者にすべてを委任してしまうことになる危険性をはらんでいるんです。

欅坂の歌詞は「選べることが大事なんだ 人に任せるな」と、自分の意思を持つことの大切さを歌っています。
ラジオパーソナリティーは、今年からこの歌が高校の歴史総合の教科書に載ったことを紹介していました。
教科書を開く高校生に民主主義の意味を考えさせる材料に、身近なアイドルの楽曲を用いるのは大変いいことだと思います。

一昨日、アベさんの国葬の費用が2.5億円との発表がありました。
これには外国要人の宿泊やその警備や経費は含まれていませんので、実質的にはもっと大きな金額が必要になるのでしょう。
私は国葬そのものには反対ではありませんが、その決定過程には疑問がありとても納得できるものではありません。
与党保守派においても、内閣支持率低下が明らかになるにつれ、国葬もその要因のひとつになったと焦りが出始めた、との報道がありました。
ここまできたら国葬を強行したのちに、統一教会問題も含めて、世論の分析を行おうということなのでしょう。
キシダさんは保守派に気を使うあまり、「国葬反対のデモはごくごく一部の人で、国民の大部分は賛成するだろう」と、サイレントマジョリティーを読み間違えたのかもしれません。
欅坂46の楽曲は、
「Yesでいいのか? サイレントマジョリティー」
で締めくくられます。
アイドルたちの問いは、意思表示をしない我々大人にも向けられているのです―――