2023年05月20日

歴史と地政学のはなしA


<昨日のつづき>

ミャンマーの話しに戻しますが、私たちが訪問していた時にちょうど中国の江沢民国家主席が国賓としてミャンマーを訪れていました。
それはそれはものすごい歓迎ぶりでした。
街には歓迎の横断幕が並び、高速道路や幹線道路は専用道路として封鎖されました。
近くの学校では壁に「熱烈歓迎」と書かれ、校門前の道路は数日前に舗装し直されたそうです。

軍事政権に手を差し伸べるのは中国だけという背景もありますが、「唐」「驃」の時代からの歴史的関係の深さも江沢民歓迎に表れていたのだと思います。
武漢で新型コロナが発生したばかりで中国が混乱をきわめていた時(2020年1月)に、習近平国家主席が国賓としてミャンマーを訪れました。
この時はNLD(国民民主連盟)が政権を握っていた時でした。
アウンサン・スーチー国家顧問が習主席と仲良く握手をする姿にはホントびっくりしました。
もしかしたら、スーチー女史は西側を裏切ったと感じた人もいたかもしれません。
ミャンマーでは政権がどういう形であれ、その政治的背景、歴史的背景から中国に対する歓迎ぶりは、変わらないものなのでしょう。



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力による現状変更を図る中国はASEANでも嫌われ者ですが、ミャンマーにとっては中国は支援してくれる大事な国であり、中国にとってもミャンマーは戦略的に重要な友好国です。
海と陸のシルクロードに沿った広域経済圏構想「一帯一路」にもインド洋につながるミャンマーは欠かせないのです。
中国はかつて国際的に孤立した軍事政権を支えて影響力を強めました。
前述のように、NLD時代にはアウンサン・スーチー氏とも良好な関係を築いて、ミャンマーが内政でどっちに転んでも重要な関係を失わないようにしてきました。

習近平国家主席の1年後にミャンマーを訪問した王毅外相は、軍事クーデターを起こしたミンアウンフライン最高司令官、拘束されたスーチー氏、ウィンミン大統領とそれぞれ会談しているのです。
新華社によると、ウィンミン氏が台湾、チベット、新疆について中国の立場を支持すると表明したことに、王毅氏は「100点満点の回答だ」と喜んでいたとか……



ピュー王国遺産など豊かな観光資源を持つミャンマーへの外国人旅行者はコロナ禍まで拡大を続け、外貨獲得源になってきました。
トップはやはり中国人でした。
コロナが落ち着いた今、再び、中国人観光客が戻ってきています。



しかし――
その一方で、ミャンマーは腹の底では中国を警戒しているとの憶測もあるようです。
ベトナムなどと同様に巨大な隣国への恐れもあり、インドや日本とも関係を強化したいのが本音のようです。

民主主義の旗を掲げて同盟国をまとめたいバイデン米政権。
G7の議長国として、アメリカに追従して民主主義を声高に訴える日本政府。
歴史的には、日本も中国をにらみミャンマーを重視してきました。
バイデンさんをむげにもできないキシダ首相、、、 ミャンマー軍事政権に対して最も難しい対応を迫られているのは実は日本なのではないでしょうか。




<おまけ>

昨日から始まったヒロシマG7。
明日のウクライナ・ゼレンスキー大統領の電撃来日で、俄然、軍事的な結束が中心のサミットになってしまいました。
せっかくヒロシマという被爆地で平和を追求できる絶好の機会だったのに……


原爆資料館もすべて視察せずに展示品の何点かを移してそこを見て回ったとか、、、
そして、マスコミはシャットアウトして展示品を見る各国首脳の顔を隠す徹底ぶり。
“警備”が理由だと言ってるけど、ホントはどうせ投下したアメリカ大統領やアメリカ世論に忖度したんでしょ。


なんだかなあ〜 (+_+)





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キシダさんのこの笑顔。
故郷に錦を飾れてホント嬉しそう。
まさに今がキシダさんの人生のサミット(頂上)なんだろうなあ、、、
おめでとさん
ヽ(*´∀`)ノオメデト─ッ♪
知らんけど……







posted by るしあん at 20:49| Comment(0) | 日記

2023年05月19日

歴史と地政学のはなし@


いい歳こいて私は漫画やアニメが大好きなのですが、そのひとつに「キングダム」や「パリピ孔明」があります。
横山光輝の「三国志」も面白かったなあ。

ちょっと話しは逸れますが、私は高校時代、世界史が大嫌いで赤点ばかり、、、
2回の追試でどうにか35点取って(5点はおまけしてもらって)、やっと3年生になれた苦い思い出があります。
暗記するのがとにかく嫌いで、苦手というよりは「なんで年表や歴史を覚えなけりゃいけないんだ。必要に応じて本を開けばいいことじゃねえか」という気持ちだったのです。
暗記力より思考力重視の入試の私大を探して、社会じゃなくて数学で受けられる経済学部を何校かトライしました。

そんな世界史無知の私ですから中国の変遷なんか全くわかりません。
「キングダム」は秦の始皇帝の話しですから最も古く、三国志、唐と続いて、元寇という大事件があって、その後は明、清と続くんでしたっけ?
漫画で学んだ以上の知識はありません、、、恥ずかしい (=_=)



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何の漫画で読んだのか忘れてしまいましたが、驃(ひょう)なる国が登場します。
さすがの世界史おバカの私でも「古代中国に“驃”なんてあったっけ?」と疑問に思いました。
物語は唐の詩人、白居易(はくきょい)の「驃国楽」をベースに、驃国の王子が唐の都、長安を訪れ踊りを献上する場面が描かれます。
この驃国の王子さまは、外国のピュー王国の皇太子で親善大使として唐を訪れていたのです。
「な〜んだ、やっぱり古代中国の国名じゃなかったのかあ」。
驃国とは古代中国でのピュー王国の呼び名だったのです。



実はピュー王国とは今のミャンマー。
ミャンマーはたくさんの少数民族で成る国なのですが、ウィキペディアで調べたら、紀元前2世紀から9世紀にかけてはピュー族が支配しており、それでピュー王国と呼んだのだそう。
中国名の由来は、ピュー族のPyuという発音をそのまま「驃」の漢字を当てたそうです。



かつて医療ボランティアでミャンマーを訪問した経験をこのブログで度々書いていますが、、、
私たちが訪問したのはスーチー女史が自宅軟禁されていた軍事政権の時でした。
その時に、国連のスタッフの方から「ミャンマーの古代遺跡群を世界遺産に申請する準備をしている」との話しを伺いました。
世界遺産として世界の目を向けさせることで、軍が破壊行為に及ぶのを防ぐ目的があったようでした。
そして、その数年後、2014年に古代遺跡群がミャンマー初の世界遺産に登録されたのです。
3つの都市遺跡に城壁や宮殿、仏塔などが残ります。
そのどれもがピュー王国の遺跡です。
当時、ミャンマーの古代遺跡群としか聞いておらず、何の知識もなく見学に連れて行ってもらいました。

訪問から20年近くが経って、物語を読んだことで「驃国」と「ピュー王国」と「ミャンマー初の世界遺産」が私の頭のつながったのです!
なんかすごく興奮してしまいました。
思わず、昔の写真を引っ張り出して見入ってしまいました。



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高校生の時にきちんと世界史を学んで、知識を持って、遺跡見学に出かけていれば、また違った感動を得られたのだろうなあ。
かつてNHKのアナさんが「知るは喜びなり」と言ってたけど、正にそうだと思います。
“受験のため”と思うと勉強もただの苦痛だけど、いつかどこかで感動を与えてくれるものだと思えばモチベーションも違ってくるのでしょうね。

幸いにも今の時代はスマホでチャチャっと調べられるいい時代ですので、どこかに旅行に出かける際はその場所の歴史や背景といったものを勉強していきたいものです。






posted by るしあん at 21:08| Comment(0) | 日記

2023年05月14日

心配性な私


私は空が落ちてくることを心配しているのだろうか?


「平和主義を捨て去り、自国を真の軍事大国にすることを望んでいる」。
誰の事?
まっ、すぐにキシダさんを思い浮かべた国民は少なくないことでしょう。
米誌『TIME』の表紙をキシダ首相が飾るそうです。
見出しは「JAPAN’S CHOICE(日本の選択)」。
記事の内容は、「(キシダ氏は)世界3位の経済大国に見合った軍事的影響力を持つ国にしようとしている」。
一方で、「“核兵器のない世界”を目指すキシダ氏の理念と防衛力強化が矛盾するとの意見がある。」と指摘もしています。

これに、すぐさま外務省が過敏に反応。
すぐに訂正させました。
ゲラ段階での見出しが「岸田首相が平和主義だった日本を軍事大国に変える」だったのが、
印刷されたのは、、、
「平和主義だった日本に、国際舞台でより積極的な役割を与えようとしている」に差し変わったそうです。

中国を不用意に刺激してくれるな、ということなのでしょうか。
G7でのイメージ戦略が崩れてしまうということなのでしょうか。
しかし、世界の見方はきっと最初の記事の様なものなのでしょうね。
外務省の素早い抗議は政権の意向があったからなのでしょう。
政府関係者は、
「修正を求めたわけではないが、見出しと記事の中身があまりに違うので指摘した。
どう変えるかはタイム誌の判断だ。」
このように説明しています。
まっ、シンプルに「いくらなんでも“軍事大国”はマズイから、変えてくれよ。」ということだったのは想像できますけどね、、、知らんけど、、、


G7では、議長国の首相として夫婦揃って、各国代表を“広島平和公園”で出迎えるそうです。
せっかく平和をアピールするためのセレモニーに、平和主義を捨てたとの記事はイメージ戦略上うまくないということなのかなあ。
核兵器を巡って「矛盾」を指摘されているので、このセレモニーまで矛盾を突かれるのは避けたいんでしょうね、、、知らんけど、、、



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自分の国を守るためによそからとやかく言われる筋合いはないし、政府がたかがアメリカの一メディアに神経質すぎやしないかとも思います。

そもそも、日本国内でさえ「国防」について十分議論されていないし、、、
復興支援税を軍事費に充てることも満足いく説明と議論が尽くされてはいません。
首相のまるで“国会軽視”のような姿勢が、余計にタイム誌のような論調を招いているのではないでしょうか。



国会の議論がきちんと尽くされているかが一番の問題なのであって、私は政権の独断専行をこのまま許せばいつか大本営化してしまうんじゃないかと一抹の不安を覚えます。
還暦を迎えた私は戦争を経験しない人生を送れる幸せな世代かもしれません。
だからこそ、子どもたちや孫たちにも戦争のない時代を生きて欲しいのです。

私の不安などただの“杞憂”に過ぎないのかもしれません。
しかし、空が落ちることはなくても、空からミサイルが落ちてくることはあるのです。

“右”も“左”も、“与党”も“野党”も、そして“鷹”も“鳩”も、本気で議論を進める時なのではないでしょうか。
「核」もタブー視することなく、あらゆる角度から「国防」について意見を戦わせることが真の民主主義です。

首相は国会を軽んじないで、国会は国民を軽んじないでほしい―――









posted by るしあん at 23:12| Comment(0) | 日記