2023年05月21日

世界は広いな、大きいな


ウクライナのゼレンスキー大統領が来日しました。
22年2月の侵攻から間もなく1年3ヶ月が経ちます。
最初の頃はこんなにも長引くとは思わず、心のどこかで“遠い国の出来事”のような感覚でした。
ところが、日が経つにつれ、日本でも小麦などの食糧やエネルギーの高騰によって経済に大きな影響を被ることで、決して他人事ではないことを実感するようになりました。


そして、今日のゼレンスキー大統領の演説は日本人に直接訴えかけているようでもありました。
実際、日本は北方領土をロシアに侵略されていますし、狭い海域をはさんで国境を接していることを考えれば、地勢的にはウクライナに近いことをあらためて認識しました。
大統領の「武力によって侵略されるのはウクライナを最後にしなければならない」という言葉は心に重く響きました。



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侵攻から15カ月、支援に関し西側諸国の間には温度差が生まれているといいます。
アメリカが発表している公式統計によれば、侵攻から1年間でアメリカがウクライナに対し行ってきた支援額は約781億ドル。
次いでイギリスが89億ドル、ドイツ66億ドル、ポーランド38億ドル、フランス18億ドル、オランダ15億ドル、ノルウェー13億ドルとなっています。
こうして見ると、アメリカの支援はEU加盟国の合計をはるかに上回っています。

ゼレンスキー大統領はこのG7で直接訴えることで温度差を埋められるのか正念場です。
アメリカ議会では共和党が「ビジョンのないまま闇雲にカネをばらまいている」との批判をしており、昨今ではアメリカ世論の支持後退につながっています。
こうした背景もあって、アメリカ軍用機やフランス政府専用機が用いられゼレンスキー大統領を迎えに行ったのかもしれません。



先々月、米ニューズウィーク誌が「ウクライナ侵攻から1年、世界の半分以上はウクライナを支持していない」と題する記事を配信して話題となりました。
刺激的な見出しですが、注意しなければいけないのは、“だからといって半分がロシアを支持している”ということではないのです。
記事によれば、世界はグローバルノース(欧米諸国)とグローバルサウス(途上国の大半が位置する南半球)とに大別されるが、両者の間には、今回の戦争に対する受け止め方に大きな隔たりがあるというものです。

グローバスサウスの人々にとっては、自国の経済発展や気候変動、移民、テロの方が大きな問題。
ウクライナなんて遠い国のことなんかかまってる余裕無いよ、ってことなのでしょう。
そもそもウクライナでの戦争は食糧の枯渇と食糧価格の高騰を招いていて、彼等にとってはどんな形にせよ1日も早く終わってほしいというのが本音といったところなのでしょうね。

日々の暮らしにも事欠くような発展途上国の人々にとっては、ウクライナとロシアの間に起こっていることは悲しいけれど“対岸の火事”にすぎないのでしょうね。



このような世界情勢を鑑み、今回のG7に、グローバルサウスの代表格のインド・ブラジル・インドネシアが招待されました。
中国がカネに物を言わせてグローバルサウスに接近していることに対抗するため、あるいは西側諸国と一緒にロシア・中国に対する包囲網を形成するためには有効なのでしょう。
ただ、先程から書いているようにグローバルサウスは“実利主義”なのです。
そう簡単に思惑通りに進むかどうか、、、





世界は広いのです、、、

私たちは世界の広さに思いを馳せつつ大局的に物事を理解しなければなりません。



核兵器廃絶までは長い長い道のりでしょうが、「核を使わない」「核で脅さない」を盛り込んだ『G7:広島ビジョン』が採択されたことは素晴らしい成果だったのではないでしょうか。

議長国としての任務は広島サミットが終わればそれでおしまいということではありません。
今年いっぱい議長国なのです。
これからが、ウクライナ和平の正念場なんです。



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ところで、キシダさん。
くれぐれも「いい流れができたから、ここいらでイッパツ、(衆議院)解散しちゃうかあ」なんて変な考えは持たないでね。
G7のあとは国内の山積する重要な課題について、ちゃんと国民の方を向いて議論してくださいナ!!









posted by るしあん at 22:52| Comment(0) | 日記