2023年09月15日

映画(マナー)のはなし


昔の映画館といえば、今と違って客席の傾斜が緩く、前の席の人の座高が高いとスクリーンの下の方が見えなくなってしまいました。
そこで、字幕は画面の下ではなく右側に出たのです。
だから字幕の洋画の時は右側のシートが人気でした。
指定席なんてなかったので早い者勝ちで席取りしたもんです。

キャパを超えてチケットを売っていたので、通路に座る人や一番後の通路で立ち見する人もいて、、、
ただ、一旦映画館に入ってしまえば一日中館内にいて何回も観ることができました。
そうそう、2本立てが当たり前で、メインの作品とB級が抱き合わせになっていました。
タバコもOKでしたので、映像を映す光が煙によって頭上に走るのが見えて、それも含めて映画館の風景でしたよ。
面白い場面ではみんな声を出して笑ったり、ハラハラドキドキのシーンでは歓声を上げたりして、、、
今では考えられない「映画の昭和遺産」ともいえる映画館の景色でした。

今は、前の人を気にすることなく画面全体が観えて、しかも大きくて明るくて。
音響もクリアで立体的、なにより大音量で、すっごい迫力です。
画も音も観客に迫って来るようで、映画の世界の中に飛び込むような感覚さえ覚えます。

マナーが厳しくなった分、観客は快適に過ごすことが出来、物語に集中して作品を楽しむことができるのです。



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さて、前回のブログでは山田洋次監督の最新作の『こんにちは、母さん』について書きました。
一昨日13日に、東京のスクリーンで公開記念イベントがありました。
出演者や監督が舞台あいさつに登壇したのですが、山田洋次監督が展開した映画観賞マナーについての持論が物議を醸しているそうです。
監督のあいさつの要旨はこう、、、
コロナ禍で映画館に足を運ぶ人が減ってしまったことに言及して、この映画をきっかけに「やっぱり映画を観るのは楽しいな」と思ってくれたらいいと思って撮ったのだそう。
そうして、映画はみんなで楽しむものという思いから、こう話したのです。
「大声で笑うなとか、やたら物を食べちゃダメとか、席を蹴るなとか、僕は本当にあれ(観賞マナー)が好きじゃない。
お金を払って楽しみに来ているのに、なんで“あれしちゃいけない”“これしちゃいけない”なんて言われなきゃいけないんだ。
僕は大いに笑ってほしいと思う。座席だって蹴っ飛ばしたっていいし。
ビール飲んだり、煙草を吸ったっていいじゃないかと思う。」

SNSでは「監督、よく言ってくれた」と賛同が寄せられた一方で、反対の意見がかなり多かったとのこと。
「昭和かよ!」
「お金を払って楽しみに行くのだからこそ、マナーを守ってみんなが快適に観られるようにすべき!」
「スマホの光だって気になるのに、後を蹴られるなんて、ますます映画館から足が遠のく!」
「監督、変なこと言わないで!」
などなど、、、

どうも、、、“お金を払っている”の価値観は、山田監督と観客側では“乖離”があるようです。



昭和の映画館を知る私でも監督の意見には大反対。
っていうか、昭和でも前の席を蹴っ飛ばして楽しんでいる奴なんていなかったですよ。
映画をみんなで楽しむために守ろうと決めたのが“観賞マナー”であって、みんながマナーを守るからこそ一人ひとりが映画を楽しめるのです。

偶然にも、前回ブログで『こんにちは、母さん』の感想の枕に“マナーを守らないおしゃべりばばあ” に腹を立てたことを書いたところでした。
まさか山田洋次監督作品を観に行った映画館でマナー違反に立腹し、その監督自身が舞台挨拶で観賞マナーについて好きじゃないと言うなんて、、、 なんか不思議な巡り合わせ。

映画に登場する寺尾聡演じる牧師さんなら、
「あのおしゃべりばばあは、あなたがマナーについて考えるきっかけを与えるために、神様が使わした天使なのかもしれませんね。」
なんて言うのだろうか!?




監督! みんなで映画を楽しむということは私も大賛成。
でもマナーを破ったら、楽しんでいるのは違反した奴だけで、きっと周りは大迷惑なのでは!?


やっぱ明治・大正・昭和を力強く生き抜いたうちのばあちゃんが言ってた
「他人様(ひとさま)に迷惑をかけるな」「お天道様が見ている」
の方が正しいと思いますよ!!!




あなたは、「映画の鑑賞マナー」、どう思います?









posted by るしあん at 22:58| Comment(0) | 日記