最近、まったく本の話題を書いていませんでしたが、それなりに読んでいました。
ほとんどが、本屋大賞の受賞作やノミネート作ばかりですが、、、
いわゆる“ハズレ無し”の作品なので、安心して購入できます (^^ )
ありがたいことにジョイホン吉岡に丸善書店が入っているので、時間がある時はフラフラ本探しを楽しんでいます。
ネットと違って実店舗本屋では思わぬ出会いもあるので本棚の散策は面白いもんです。
タレントの芦田愛菜ちゃんは以前、番組内で「“背表紙が光って見える”本を買う」と言っていましたが、残念ながら私はまだ本が光って見えたことはないなあ、、、
今日は、最近読んだ中で面白かった作品をひとつ。
本屋大賞とは全く関係なく、小説でもないのですが、、、
それが、この本。
『ヤバい統計』(ジョージナ・スタージ著、尼丁千津子訳:集英社コモン)
副題の「政府、政治家、世論はなぜ数字に騙されるのか」に魅かれて衝動買いしたんです。
読み進めると“ヘ〜”と感心すると同時に空恐ろしさも感じる内容でした。

例えば、あなたがスーパーに行ってドリンクコーナーでこんな表示のジュースを見かけたとします。
「カロリー10%OFF(当社従来品比べ)」
誰もがこう思うでしょう、「糖質カットでもして、よりヘルシーなジュースになったのかあ」と。
ところが、「ただ単に従来品より10%、量が減っていただけだった」。
確かにウソではない。
別のジュースにはこんな表示があります。
「お値段、そのまま!!」
誰もがこう思うでしょう、「このご時世に値上げしないで頑張ってるなあ」と。
ところが、「ただ従来品より10%、量が減っていた」。
確かにウソではない。
確かにウソではないが、“だまされた!(`´)”と感じるのは、こちらの想定と表示の言葉の文脈がズレているためなのです。
この本の原題は「BAD DATA」。
数値が何を示しているのか、正確に表わし、正確に読み取らないと困った方向に進んでしまうのです。
バッド・データとは、悪意のある捏造ではないけれど、不正確だったり目的と合わない統計であったりしたために、間違った結論を導き出すデータのことを指します。
作者は警鐘を鳴らします。
実は、この世の中、あらゆるデータは完璧ではなく、信じ過ぎるとロクなことにならないよと。
通販のアンケートなどは、質問する側のバイアスがかかっている回答だと思った方がいいでしょう。
昨今の政治などは○○メガネの言い回しもそのひとつ。
「子育て支援の財源のために増税は致しません」と言っても、ちゃっかり社会保険料を増やしてそこから財源に計上。
増税しないのは事実だとしても、国民の負担は増えるのです。
私たちが政治家に不信感を抱くのは、前述の通り、こちらの想定と政治家の言葉の文脈がズレているためなのです。
もしかしたら、官僚が示すデータにバッド・データが含まれていて、政治家自身が騙されているなんてこともあるかもしれません。
いずれにしても、私たちは、たとえ数えやすそうなデータであっても不確定な領域が必ず存在することを知っておくべきなのしょうね。
実証をベースとする民主社会では、データは不可欠です。
そして、それを役に立つものにするには、“不完全である”ことを含みおいたうえで統計を読み解く力(統計リテラシー)が必要なのです。
最近、巷を賑わしている“著名人をかたった投資広告詐欺”。
“いかにも”なデータを示して勧誘していますが、世の中、そうそううまい話しは転がっていません。
バッド・データから身を守るには、「結論を急ぐな!」ということ。
なかなか、読み応えのある一冊ですが、ゴールデンウィークを利用して読んでみてはいかがでしょう。
おススメです!