今日の地元紙のオピニオンの記事が面白いのです。
東北某県出身の奥様やそのご家族に「焼きまんじゅう」が不評だったというのです。
「こんなに美味しいのに」と思う夫との隔たりは大きいようで、、、
群馬県民にとっては、「焼きまんじゅう」といえば縁日やイベントで食べた思い出があり、また幼少期より慣れ親しんだ味でもあります。
私が子どもの頃は焼き芋屋さんのように軽トラで焼きまんじゅう屋さんが自宅前まで来てくれましたので、みんなで囲んで食べた“家族団らん”の思い出もあります。
つまり、名物にはバックヤードというか、そこに暮らす人の背景の様な「味以上のプラスアルファ」が存在しているのでしょう。
その「慣れ親しんだ」ということが“味覚”を形成する重要な要素なのかもしれません。
それが
「名物に美味いものなし」、しかしその地で育った人にとっては「こんなに美味い名物、他になし」
ということになるのでしょうね。

さて、昨日は「コメ不足解消のため輸入米が増えるのでは」との危惧を書きましたが、、、
今日は前述の焼きまんじゅうの観点でコメについて考えてみましょう。
日本で栽培され食されているコメは“コシヒカリ”や“あきたこまち”“ササニシキ”など実に豊富な種類がありますが、それらはすべて「ジャポニカ種」。
それに対して海外で作られているのは「インディカ種」です。
パラパラのインディカ米に慣れた外国人にとって、日本のコメはベチャベチャ、ネットリで不評でした。
幼少の頃より食べていた自国産のコメの方がずっと美味しいと感じるのは当然です。
逆も然り。我々もインディカ米を美味しいと感じることはできません。
ところが、ここ数年で日本のコメを取り巻く環境は大きく変化しました。
海外で日本食人気が高まり、かつては寿司くらいしか日本のコメを食べる機会はありませんでしたが、今ではおにぎりや、牛丼、カレーなどのチェーン店が各国で展開していて、ジャポニカ米の人気が急上昇しています。
それに伴い、本場の日本食を目的に来日する外国人観光客も急増しています。
正に市場供給量を上回る需要となって、昨日書いた通り「消えた」んじゃなく「足りない」のです。
日本と似た気候のカリフォルニアはインディカ米の一大生産地ですが、昨今ではジャポニカ米の生産に乗り出しています。
こうして浸透していけば、子どもの頃からジャポニカ米に慣れ親しむ人たちが増え、日本のおコメの本当の美味しさを知る外国人が増えていくことでしょう。

政府は日本国内ばかりを見ていないで、世界のすう勢に目を配りながら農業政策を行うべきでしょう。
以前も書きましたが、そろそろ減反政策・価格調整に見切りを付けて、増産に舵を切る時なのではないでしょうか。
国内市場+防災用備蓄米の需要を上回る供給(生産)量は、積極的に輸出し、政府外交筋は米価安定のために海外販路確保、量の適正化を政策としてほしいものです。
それにもう一つ。備蓄米は古米、古々米までに。
三年古米は味の劣化が進み、いくら非常食とはいえとても食べられたもんじゃありません。
うちの近所の田んぼの若衆の農業法人では、前述の話しと逆に、国内でインディカ米の生産を始めています。
エスニック料理を提供するレストランの契約栽培だそうです。
ナシゴレンやパエリアなど、インディカ米の方が料理に適していて日本の米より美味しく食べられるメニューがたくさんあるそうです。
もしかしたら、国内においても若者を中心にインディカ米に慣れ親しむようになっていくのかもしれませんね。
さて、最後におコメのルーツの話しをチョットだけ――
学校では、「ジャポニカ種は中国の長江流域で生まれ、インディカ種はインドのインダス川流域で生まれた」と習いました。
こう覚えている方も多いと思います。
ところが、遺伝子研究が進歩した近年、ゲノム検査の精度も飛躍的に進みました。
そして、両種のゲノム解析を行った結果、
「ジャポニカ種もインディカ種も中国広東省の珠江流域が原産地である」
ということが判明したのです。
今まで日本のお米と外国のお米は「遠い親戚」と思われていたものが、実は「近い兄弟」だったのです。
科学の進歩で古い常識は通用しなくなったという一例です。

今度、サラ・ミラの教科書を借りて勉強し直そうかなあ(*^_^*)