2018年05月18日

卵と壁


今日、ご来店のお客様。
私が書いたパドメ・アミダラ姫についてのブログを読んでくれたそうで。

「私、村上春樹の「卵」と「壁」演説を思い出しました。」

さすが、自称“本の虫”のお客様。
ハルキストではないと言いながらも、ナタリー・ポートマンから、村上春樹のエルサレムでの演説を思い出すなんて。



hrumurael.jpg



2009年、村上春樹さんはイスラエルの「エルサレム賞」を授賞しました。
当時もイスラエルはガザ空爆で大勢のパレスチナの民間人を殺害していました。
そんな状況下で、「賞は受けるべきではない」という批判が起きました。
たくさんの人が村上さんに辞退を進言していました。


村上文学の底流は“幸せ”“やさしさ”であり、ファンは受けることはしないだろうと思っていました。
私も、当然、そう思っていました。


ところが、村上さんは敢えて受けることにして、そのスピーチで、批判の声を一蹴したのです。
そればかりか、そのスピーチは世界から絶賛されました。


戦争を起こす体制を「壁」、人間を壊れやすい「卵」に例えて、「私は常に卵の側に立つ」と言い切ったのです。
戦争当事国に乗りこんで、命の尊さを説いてみせたのです。
村上さんのその姿は世界の人々の心を揺さぶりました。
その演説は、まさに世界の声を代弁していました。



辞退することによって、世界の批判を体現してみせたナタリー・ポートマン。
授賞スピーチを世界が求める言葉にしてみせた村上春樹。
手法は違えど、自らの魂を何ものにも縛らせず、おのれの信じる正義を貫き通す姿には感動を禁じえません。



私が「卵」と「壁」演説を聞いたのは、ちょうど職場の人間関係に悩んでいた時。

「多かれ少なかれ我々はみな卵なのです。唯一無二でかけがえのない魂を壊れやすい殻の中に宿した卵なのです。」
「その高い壁は、我々の命を奪い、我々に他人の命を奪わせる冷たいシステムです。」


村上さんの言葉は、私にとって、
あらがうことができないちっぽけな自分が卵、
厳しいノルマを突き付け、叱責、怒号を浴びせる上司や会社のシステムが壁、
に聞こえました。


悩んだ末に、この翌年、私は「辞表」という形で抗議を示し、高くて硬い壁に立ち向かいました。




前出のお客様と、まさか私の退職時の思いを語り合うとは思ってもみませんでした。

スターウォーズから、私の脱サラまで、よくもまあ、話しが脱線したもんだ!!



posted by るしあん at 21:20| Comment(0) | 日記
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