2019年08月15日

壮途を祝す


過般のブログで、国と国との交渉事には、時として、道義よりも軍事力が物を言うと書きました。
しかし、そんな外交の世界で正義を貫いた民間人がいました。
それは、出光興産創業者にして社長だった出光佐三(いでみつさぞう)。
昨今のホルムズ海峡問題を機に、マスコミなどで“日章丸事件”が紹介され、にわかにその名を耳にすることが増えたように思います。
劣化が進む今日の政治家よりもよほど行動力があり、正義と反骨の人だったと思います。
若い人は映画『海賊とよばれた男』で岡田准一が演じた国岡のモデルと言った方がわかりやすいかな!?



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“日章丸事件”とは、、、
1953年、出光佐三はイランに出光興産のタンカー「日章丸」を派遣して、イランの石油製品を買い付けました。
当時のイランはイギリスの半植民地状態。
ホルムズ海峡を始め周辺海域はイギリス海軍の厳しい監視下にありました。
「日章丸」はその監視の網をかいくぐり、イランから日本へと石油を運んだのです。
イランとの直接取引にイギリスは激怒。
積み荷の所有権はイギリスにあると主張し裁判を起こしたのです。
しかし、東京地裁は訴えを却下し、裁判は出光側の全面勝訴。

そして、この事件を契機に“世界的な石油の自由貿易”が始まることとなったのです。

外交において、「正義」が「軍事力」に勝ったのです。



裁判に際し、出光佐三は乗組員にこう説いています。

敗戦の傷の癒えぬ日本は正義の主張さえ遠慮がちだが、イラン石油の輸入は堂々天下の公道を闊歩(かっぽ)する正当な行為だ。



イランのモサデク首相は日本に帰る日章丸に『壮途を祝す』という扁額を贈り、のちに「日本はイランの救世主と思っている」と語っています。
まさに出光佐三の決断と行動によって、日・イランの“特殊な関係”が生まれたのです。



イラン・イラク戦争(第一次湾岸戦争1980〜1988)において、安倍晋太郎外相は両国を訪れて停戦を呼びかけました(83年)。
この時、外相の秘書官として同行していたのが、今の総理である息子の晋三。
今年6月の安倍首相のイラン訪問は、まさに父の背を見て政治を学んだ安倍さんならではの行動といえるかもしれません。
残念ながらアメリカとイランの仲裁はかないませんでしたが、イランの最高指導者ハメネイ師と直接面談できるという最高レベルの外交チャンネルは日本にとって非常に貴重なものといえます。



米トランプ政権が提唱している「有志連合」。
すでにペルシャ湾周辺では様々な国際組織が海の安全のために活動しており、いまさら「有志連合」などと言われても、、、
トランプのイランに対する殊更の対決姿勢は、明らかに再選戦略の一環でしかなく、イスラエルを喜ばせるだけ。


アメリカの提案を拒むのは難しいとみる日本の政治家や学者も少なくないといいます。
残念ながら、アメリカをいさめる選択肢はないようです。

今こそ「日本は正義の主張さえ遠慮がち」という出光の言葉を思い起こし、「正義」を貫く覚悟を持つべき時なのでしょう。



同盟国であるアメリカと伝統的な友好国のイランの双方にどこまで配慮できるか、まさに今が日本外交の正念場。
そして、私たちは、日本政府が戦争への道を進まぬように注視しなくてはなりません。
政治に無関心になってはいけないのです!



今日は8月15日。
戦争の無い平和な未来を―――




(参考:季刊アラブ、毎日新聞)



posted by るしあん at 21:06| Comment(0) | 日記
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