夏休み中の映画館は子ども達で混雑するので、喧騒を嫌って8月は一度も出かけませんでした。
だからまだ『MI:デッドレコニング』も観ていないんです。
早く観ないと後篇の方が封切されてしまいますよね。
先日は、マッサージの通院の帰りに久しぶりにけやきのユナイテッドシネマに行ってきました。
女房が一緒だったので「MI」は後回しにして『こんにちは、母さん』をチョイス。
9月の平日で子ども達はいなかったのですが、なぜかご年配の方々で混んでいたのです。
な〜んか嫌な予感があったのですが、案の定、2つ空いた席の隣の年配のご婦人おふたりが、着席するやいなや大きな声でおしゃべりを始めたのです。
そのうち静かになるだろうと我慢していたのですが、劇場ライトが半落ちして予告編・特報が始まってもうるさいまま。
「前の席を蹴らないで」「携帯の電源は切って」「おしゃべりはやめて」といういつもの映像が流れてもおしゃべりは一向に止む気配がないのです。
さすがにブチ切れて「注意してくらあ」と女房に言ったら、「やめときなよ!」と一言。
余計に頭に血が上って「公共のマナーを守らない奴を注意もしないで見て見ぬフリするから道徳心を持たない奴がのさばるんだよ」と女房を押しのけ、優しく優しく注意したのです。
「おい、ばばあども。いい加減にせえよ。てめえらのおしゃべりで周りが迷惑してるんがわかんねえのか。少し静かにしろや!」
ばあば共、あっ、失礼、ご年配のご婦人おふたりは「フン!」と一瞥し静かになりました。
後ろの席のご夫婦も腹に据えかねていたらしく、私にそっと音のしない拍手をしてくれました。
「夏休みの映画館は子どもがうるさい」なんて思っていたことをちょっぴり反省しました。
年寄の方が余程、モラルがないようで、、、
あのばばあども、若い頃に「他人様(ひとさま)に迷惑をかけるな」と教わらなかったのだろうか!?
うちのばあちゃんなんか「他人様に迷惑をかけるな」「お天道様が見ている」が口癖だったのになあ〜。
ショッピングモールでは、子どもがちょっと大きな声を出すと「ダメでしょ」とたしなめる若いパパ・ママもいて、ちゃんと自然に子どもたちにマナーを身に付けさせていました。
子どもや若者の方が、案外、ちゃんとしっかりしていて、歳を重ねるに伴って我儘になる年寄りの方が、よっぽど厄介なのかもしれませんね。
“他人のフリ見て我がフリ直せ”じゃないけれど、おしゃべりばばあを見て、「世間様に迷惑をかけるじじいにならないように注意しよっと」と思った次第です。
さっ、今日の本題。
ということで、今回観て来たのは『こんにちは、母さん』。
ご存知、山田洋次監督の最新作です(91歳にして90本目の監督作品)。
実は、私、昔から寅さんが大好きで、先日からデアゴスティーニも買い始めたのですが、その山田洋次監督作品ということで公開を楽しみにしていたのです。
お母さんを演じるのは吉永小百合、その息子が大泉洋、孫が永野芽郁で、脇を寺尾聡や宮藤官九郎などの名優が固めています。
お母さんのほのかな恋や家族愛が描かれ、大事件が起きるわけでなく“ごく普通の日常の物語”なのですが、“心がほっこりする”映画なのです。
令和の家族の物語なのにちょっぴりノスタルジックで、人情が心に沁みて、、、
私には、「“寅さんロス”を山田監督がそっと埋めてくれた」と思えました。
おススメです。
特に、かつて「男はつらいよ」が好きだった人には、是非、観てほしい作品です。

いつもは、2本の映画の話題を書くのですが、今月はまだ1本しか観ていないので、今日は寅さんの話しを、、、
男はつらいよシリーズのファンの私は「くるまや」のモデルになった柴又の団子屋「高木屋老舗」に女房と観光に行ったことがあるんです。
もうかれこれ10年近くも前の話し。
スカイツリーに上った後で既に夕刻。
閉店時間を過ぎてしまい、だんごも食えずがっかりして写真だけでも撮ろうと店先でスマホをいじっていたんです。
そうしたら、お店の人が声をかけてくれ「今閉めたところだから開けますよ。わざわざ来てくださってありがとうございます」と、表を開けてくれたのです。
だんごを頬張りながら、寅さんの話しを少しして、、、
渥美さんが撮影の時に休んでいたという椅子で写真を撮らせてもらいました。
店員の女の子は地方出身で、やはり寅さんファンで、お店を突然訪ねて「働きたい」と懇願して雇ってもらったのだとか。
「ドラマみたいだね」なんて話しをして、おかみさんの優しいお人柄に感心しました。
そのすぐあと、おかみさんがご逝去されたことをニュースで知りさみしい思いをしました。
冷たい生ビールと美味しい草だんごが、心に沁みたなあ〜。


『こんにちは、母さん』を観ながら、なんとなく画面のどこかに寅さんが歩いていやしないかと探してしまった私。
やっぱり、山田洋次監督作品は、琴線に、やさしくそっと触れてくるんです―――