
私、プレバトが大好きで毎週欠かさず見ているのですが、この句は俳優の梅沢富美男さんが詠んだ名句。
あまりに素晴らしくて記憶に残っています。
放射能漏れで避難を余儀なくされ、人々は皆、街を追われました。
廃墟と化した街にはひとつのポストが残されています。
日の出と共にどこからか訪れた一羽のスズメが羽を休めている――
ただ一羽のスズメを描写しているだけなのに、そこはかとない悲しみや虚無感が迫ってきます。
昇る朝日に、そして小さな命に、絶望の中にも微かな希望を感じることができます。

私たちに最も身近な小鳥といえばスズメ。
昔話にもよく登場して親しまれています。
実は、このスズメ、身近に感じるのは当然で、人間と同じ生活圏で生息しているのです。
冒頭の句は人が消えた街に残った一羽に焦点を当てていますが、人が住んでいた頃はきっと何十、何百とたくさんのスズメがいたはず、、、
人の営みが消えるとスズメも姿を消してしまいます。
諸説あるようですが、スズメはイネ系の種子や、イネ科植物に付く虫を好んで食べ、営巣は外敵から身を守るため木造住宅の軒天や瓦の隙間を好むそうです。
それ故、人がいなくなってしまうと生活圏がなくなってしまうのです。
そして、今、こんな悲しいデータがあります。
なんでも、毎年、スズメの数が3.6%ずつ減っているそうです。
3.6%なんて一見わずかな数値と思われがちですが、このまま行けば、絶滅危惧種にもなりかねません。
我が家では、以前、朝、うるさい程のスズメの鳴き声で目を覚ましていましたが、最近はめっきり静かになりました。
朝、テラスの笠木や雨どいに止まっているのは十数羽程度。
数が減っているのを実感できます。
あなたのお家の周りはいかがですか?
スズメは減っていませんか?

かつてはスズメは田んぼの嫌われ者で害鳥扱いされていました。
定期的に爆発音を発生させたり、防鳥ネットを張ったりして、百姓Vs.スズメの熱い戦いがあったのです。
私も稲作を始めた当初は土手に金ピカテープを張り、内部は黄色い防鳥糸を張り巡らせていました。
ところが、当時はコメを食べる害鳥と思われていたスズメは、今は稲に付く害虫を食べてくれる益鳥であることが判ってきました。
そんな訳で、うちも数年前からテープや糸を張るのを止めたのです。
多少のコメは食べられても害虫を食べてもらう方がありがたいので、“害虫駆除のアルバイト代”くらいの気持ちでいます。
田んぼの中に案山子(かかし)を立て、パーンなんて爆音を鳴らす、、、もはやこれも「昭和」の風景なんですね。
そのうち、ネットを張った田んぼも見かけなくなるのでしょうね。
ちなみに、、、
あの田んぼに張る防鳥ネットの別名をご存知でしょうか?
この辺りでは“喧嘩網(けんかあみ)”と呼ばれているんですよ。
二人一組で一方の土手と反対側の土手を、網を引っ張り合いたるみを取りながら歩き、少しずつ張っていくのです。
ところが、大抵は歩調が合わなくなってスムーズに進むことはないんです。
やがて「お前が遅い」だの「あんたがせっかち」だのと夫婦喧嘩が勃発するのです。
そして、付いた名が“喧嘩網”。
最近は見かけることがトンッと少なくなった田んぼの防鳥網ですが、、、
見つけた時は、「あ〜、おじいちゃんとおばあちゃんが夫婦喧嘩しながら張ったんだろうなあ」と思いを馳せてみてください。