2025年06月01日

あそこの歴史的背景


最近はトンッと報道されなくなりましたが、ミャンマー国境地帯の“犯罪都市”は今、一体どうなっているんだろう!?
誘拐され犯罪に加担させられた被害者たちのその後は?
全員無事に救出されて、それぞれの国へ帰ることはできたのかなあ、、、

私たちがかつて医療ボランティアでミャンマーを訪れた時、政府(今の前の軍事政権時代)主催のレセプションが開かれました。
その時、各民族の子どもたちが民族衣装を披露してくれました。
それぞれの民族衣装は姿形は全然違うのにどれも華やかで可愛いものでした。
彩りに目を見張ったのと同時に、ミャンマーにはこんなにたくさん少数民族があるのかと驚きました。
そしてビルマ族はいわゆる東南アジア系の顔立ちなのに対し、コーカン族などは日本人のような顔立ちなのです。



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訊けばコーカン族は明の時代に中国から移住してきた民を祖とし、今でも中国の方言を話すのです。
明から時代は下り、国民党と共産党が戦火を交えた国共内戦時には、敗走した国民党軍がミャンマーの国境地帯に逃げ込みました。
部隊はタイ国境の山岳地帯に潜み反撃の機会を伺っていたのですが、その資金源に充てたのが「ケシ栽培」でした。
ここがあの有名な「黄金の三角地帯」の中心となるのですが、半世紀前は実に世界のヘロインの7割がここで作られていたのです。
その後、取り締まりが厳しくなると、今度はアフガニスタンに生産拠点を移しました。

近年、アフガニスタン紛争が米軍撤退によって一定の収束が為されたことから、犯罪組織は再びミャンマーの国境地帯に帰って来ていたのです。
ミャンマーでは軍によるクーデターが勃発し、その後の内戦の激化で、新軍事政権の統治が及ばず「政治的な空白地帯」が生まれました。
犯罪組織にとってはラッキーなことに、まるで“取り締りの無い天国”のような場所になってしまったわけです。

そこに目をつけたのが中国系犯罪組織。
SNSのニセ求人広告で世界各国から万単位といわれる多くの人をだまして拠点の建物に監禁。
閉じ込められた人達は、多言語を使い「オレオレ詐欺」や「ロマンス詐欺」などの特殊詐欺に従事させられていたのです。



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かつての麻薬犯罪の「黄金の三角地帯」は、今や特殊詐欺犯罪の「黄金の三角地帯」になってしまいました。
ネットで世界中と繋がることができる現代社会においては、ミャンマー国境地帯に出現した「犯罪都市」は世界のどこでも生まれる可能性があるのです。
政情が不安定な国や北朝鮮のように閉ざされた国はもちろんですが、日本のように中国系犯罪組織の侵入を許してしまっていればいつ地下に犯罪都市が出来ても不思議じゃありません。

3ヶ月ほど前のミャンマー犯罪都市の摘発では、16歳の日本人少年が保護され、スカウト役の日本人も逮捕されています。
これまでは犯罪に対する国際協力は麻薬取り締まりが主でしたが、今後は特殊詐欺犯罪についても国際協力が不可欠です。





余談ですが、、、

東南アジアのおみやげの定番といえば「タイガーバーム」。
腰痛持ちの私にはあのスースー感がたまらなく心地いいのですが、、、
「タイガーバーム」はシンガポールの虎豹企業の商品ですが、その起源は胡文虎という中国人。
彼は、中国福建省からミャンマー(ビルマ)に渡り、ヤンゴン(ラングーン)で薬局を営んでいたのです。
そこで作って売ったのが「タイガーバーム」でした。
胡一族は「タイガーバーム」で財を為した華僑ですが、その始まりはミャンマーにあったのです。

ミャンマーで中国人によって作られたのはヘロインのような毒薬ばかりじゃなく、良薬もあったというお話しでした!



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posted by るしあん at 23:52| Comment(0) | 日記
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