2025年07月05日

「お」か「し」か?


アラブの文化で語られるのが「目には目を、歯には歯を」。
紛争が続く中東においては「やられたらやり返す」の攻撃的な解釈をされがちですが、実は「おもてなし」などの良い面でも使われます。
私たち日本人と同じ「お返し文化」が根底にあるのです。

かつて和太鼓の中東公演に訪れた時には、シリア・ダマスカスでもレバノン・ベイルートでも演奏のお礼に歓待を受けました。
食べきれない程の料理に別テーブルで用意されたフルーツなどなど、、、
遥か遠い異国から文化交流に来てくれた感謝の気持ちだそうで、細やかな心使いに安心して演奏に集中できました。

日本では贈り物とお返しがセットで義務。
バレンタインデーのお礼にホワイトデーを生んだ日本人ですが、もしかしたらアラブでもホワイトデーが流行るかも!?
けど、そもそもアラー神崇拝の人たちですから、バレンタインデーが無いわけでホワイトデーが生まれることはないですよね (^^ )



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さて、この“贈り物とお返しのセット”、英語では「レシプロシティー(reciprocity)」と言います。
日本語では「互恵性」、「返報性」などと訳されます。
「相手に何かを渡したらお返しがあると期待し、逆に相手から何かを受け取ったらお返しをしなければならない。」
こんな感情は日本やアラブのみならず、あらゆる文化を超えた社会通念のひとつであるのです。

この10年、ビジネスの世界ではにわかにレシプロシティーが注目されてきました。
「権限に頼らなくても人は動かせる」、「“お返ししたい”が影響力の原点」をキーワードに働き方(働かせ方)の新しい考え方を記した『影響力の法則』(A・R・コーエン博士、D・L・ブラッドフォード博士共著)がベストセラーになりました。
現在、多くの企業では組織のフラット化が進行し、順位の高低よりも能力の高低に従って仕事を動かすようになりました。
更にAIなどのテクノロジーの急速な進化によって、上司が部下の能力に依存する度合いも強まってきました。
これまで権限を振りかざしてきた昭和の化石ジジイは、肩書きで命令しても部下は動いてくれないのです。
権限に頼らず人を動かす力は「影響力」と心得ましょう。
そして影響力の基本となるのがレシプロシティーの考え方であるのです。



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さて、、、
レシプロシティーという言葉が、貿易に使われると、相互に特権を認め合うことを意味することから「互恵主義」と訳されます。
国家間の関係に及ぶと故アベ元首相がよく口にしていた「戦略的互恵関係」ということになるのでしょうか、、、
実はトランプ大統領も“レシプロシティー信奉者”だと言われていますが果たしてどうなんだろう!?
彼のディールはもはや「取引」ではなく「脅し・脅迫」であり、とても互恵と呼べるものではありません。
頭ん中は「レシプロシティー」ではなく単なる「ギブ・アンド・テイク」に占められているのでしょうね (+o+)トホホ、、、



フランスの文化人類学者マルセル・モースは著書『贈与論』の中でヨーロッパの古い慣習を詠んだ古詩を引用しています。
「贈り物をもらったら贈り物でお返しせねばならない
笑いには笑いを
嘘(うそ)には欺瞞(ぎまん)を」

“ウソをつかれたらウソで返せ”ではとても互恵関係を築くことはできません。
トランプの思考回路にあるのは古き欧米人の慣習なのかもしれません。



同じ「レシプロシティー」でも、日本人は「お返し文化」に根差し、アメリカ人は「仕返し文化」に根差しているのでしょうね、、、

「お」と「し」の違いを埋めるのは困難な道のりなのでしょうが、アカザワ経再大臣には是非とも頑張ってほしいものです。













posted by るしあん at 20:16| Comment(0) | 日記
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