アメリカの独立は1776年7月4日ですから、来年は建国250年に当ります。
この歴史の節目をトランプ政権下で迎えるにあたり、社会の分断はより深刻になっていやしないかと不安になります。
アメリカ社会の分断は、世界の分断にも繋がっていきます。
先日はフランスのマクロン大統領がパレスチナを国家として承認することを決定しました。
先鋭化するイスラエル・アメリカに自制を促し、パレスチナ人に対する虐殺を止めるさせることが目的です。
G7構成国では初めてのことです。
フランスの人道的措置という主張に対し、早速アメリカはテロ支援だと咬み付きました。
ドイツは早々にフランスに同調しないことを表明。
もちろん日本はアメリカ様には逆らえません。
アメリカ国内ではフランスを支持するリベラル派とトランプ支持派の溝は益々深くなり、分断に拍車がかかってしまいました。
9月の国連総会から目が離せません。
さて、ここでクイズを1つ、、、
世界で初めて地下鉄が通ったのはどこでしょう?
答えはロンドン、1863年に開業しました。
実は、そこから遡(さかのぼ)ること半世紀、1810年にアメリカには「地下鉄道(Underground Railroad)」が存在していました。
とは言っても、こちらは実際の地下鉄ではなく、地下組織の名称です。
時は、南北戦争前夜から戦時中にかけて。
南部の黒人奴隷を北部の自由州に、ときにはカナダまで亡命することを手助けした地下組織がありました。
奴隷制廃止論者や北部諸州の市民によって作られた組織は自らを「地下鉄道」と名乗り危険なミッションをこなしました。
そして、65年の戦争終結まで数十万人の奴隷を救い出したのです。
この過酷な逃亡劇を指揮した最も有名な「車掌」がハリエット・タブマン。
彼女自身、黒人女性であり、そして奴隷であったのです。
彼女は、「地下鉄道」の助けを借りて北部に逃げて自由を手にしました。
にもかかわらず、彼女は再び南部に舞い戻ります。
今度は自分が助ける側になって、奴隷を逃亡させるために、、、
そして、同じ境遇の人たちを大勢救い出すことに成功しました。
ハリエットのすごいところは「地下鉄道」に留まらず、南北戦争では北軍に従軍。
そして、北軍黒人兵の部隊を指揮して勇猛に戦ったのです――
彼女の生涯は映画「ハリエット」(2019年)に描かれています。
気になる方は是非、観てみてください。
スリルと感動の物語です。
ちなみに「ブラック・ライブズ・マター」運動が起きたのは映画公開の翌年。
デモの参加者の中に「ハリエット」のプラカードを持つ人が少なくなかったのは、「黒人の命は大事だ」という思いに共感した証しなのでしょう。
実は数年前に、このハリエット・タブマンが民主党政権下で黒人女性として初めて「20ドル紙幣の顔」に決まりかけました。
しかし、その後、トランプ政権が発足してしまったので、多様性を嫌う彼の一言で実現が遠ざかってしまったのです。
政府機関のホームページでも彼女の扱いが小さくなってしまいました。
トランプの主張は、「米国史に真実と正気を取り戻す」のだそう。
「ブラック・ライブズ・マター」運動を受けて、南軍を率いたリー将軍の像が撤去されましたが、これにもトランプは「ばかげている」と咬み付いています。
冒頭、パレスチナを巡るアメリカ社会の分断について触れましたが、自国の「歴史認識」においても分断が進んでいるのです。
建国250年の節目に、「シビル・ウォー」が現実のものとなりませんように――