2025年08月30日

エレクトリックな多様性


息子が大学進学に伴い九州に引っ越しする際、家電は現地の量販店で買い揃えました。
テレビ、炊飯器、冷蔵庫、洗濯機などなど結構な数にのぼり、その出費は家計には痛かったなあ、、、
店員さんとしばし電化製品やご当地名物などで雑談。
私:「小さいテレビとドライヤーくらい群馬から送れるんだけど、周波数が違うからサ。」
店:「おとうさん、今時の家電はほとんどヘルツフリーだからそんな心配はいらないんですよ。」
店員さんいわく、そもそも、もはや周波数の違いを知っている人が少ないんだそうで、、、
自分がいかに“昭和”であるかを知るできごとでした。



5060hz01.jpg



先週のブログでかわぐちかいじの漫画「太陽の黙示録」についてちょっとだけ書きましたが、分割統治される北日本(ノースエリア)と南日本(サウスエリア)を分かつのが、糸魚川-静岡構造線。
漫画では巨大地震で、フォッサマグナで列島が真っ二つに割れて海峡ができてしまいます。

電気の周波数の境界もこの構造線のちょっと東寄りの所。
そのため静岡県富士市では、同じ行政区なのに富士川を境に50Hzと60Hzが混在するそうです。
住民の方々は、ヘルツフリー家電開発以前は電化製品を買うのも一苦労だったんでしょうね。


ちなみに、東海道新幹線は大型モーターのヘルツフリーが進化する前だったので、東側に変電所を設けて全線で60Hzで走っています。
一方、新しい北陸新幹線は双方に対応した車両を使っているので周波数変換の変電所は必要ないのですが、路線が構造線をまたぐので走行中に3回も周波数を切り替えているそうですよ。
ネトフリの新作映画「新幹線大爆破」では、爆破回避のため東北新幹線を東海道新幹線につなげて走り抜けるという案が出ていましたが、50Hz車両を60Hz線路に突っ込ませようというのだから、そもそも無理な設定なんですよね。



5060hz02.jpg



同じ日本でなんで面倒な2つの周波数電気になってしまったかというと、、、
明治時代、初めて日本に発電機を輸入しようという時に、ドイツ製は50Hzで、アメリカ製は60Hzだったのです。
両国にいい顔したい明治政府は、どっちの発電機も導入してしまったのです。
結果的に、この政府の決定が日本を二分することになったのです。

そして、2011年の東日本大震災。
福島第1原発の喪失により電力が不足、東日本一帯に計画停電が強いられました。
西日本から電気が融通できればよかったのでしょうが、周波数の違いがネックに、、、
そして、このことをきっかけに経済産業省が電気統一のコストを試算したのです。
その結果は、なんと10兆円以上の費用がかかるというものでした。

明治政府の決定が悔やまれますが、識者によると「二分されていることで日本全体がいっぺんに電力喪失することがない」というメリットがあるそうです。
東日本大震災の時は西日本の電気供給力が棄損されることはありませんでした。
仮に、南海トラフ大地震が起きて西日本の電気が喪失しても東側は電気を供給できるのです。
日本全体の電力が統一されていれば、どこかのダメージが全国に広がりブラックアウト(大停電)が起きても不思議ではないそうです。
2003年のニューヨーク大停電はカナダにまで広がりました。
記憶に新しいところでは、今春、フランスで大規模停電が起きて、電車や飛行機がストップし、スマホやネットなどの通信手段も使えなくなりました。
帰国できなくなった日本人観光客もたくさんいて、フランス全土に混乱が広がりました。

日本中がブラックアウトに見舞われないひとつの理由が「規格の不統一」だなんて聞くとちょっと複雑な気分になります。



災害大国の日本だからこそ、統一されていない規格でもイザという時はすぐさま電気を融通し合えるシステムが必要なのでしょう、、、


電気の世界も多様性を認め合うことが大事ってことなのか!?。


「ダイバーシティ発電」で日本を強靭化して欲しいものです――











posted by るしあん at 22:24| Comment(0) | 日記
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