2020年09月19日

赤い舌


こんな地理の問題を日本、中国、それぞれの学生に質問したらどう答えるでしょうか。

Q.中国の最南端の場所はどこ?

日本の学生:海南島

中国の学生:南沙諸島

と、まあ、きっと、こんな答えになるでしょうね。


では、これならどうでしょう。

Q.中国人が考える中国の最南端の場所はどこ?

日本の学生:南沙諸島

中国の学生:南沙諸島

日本の学生も、中国が南シナ海での権益を主張していることは報道等で知っているでしょうから、きっと両方とも南沙諸島で答えは一致するでしょうね。


ところが、同じ南沙諸島でも両者の思い描く範囲はずいぶんと違うはず。
日本では、たびたび、「中国が勝手に岩礁を埋め立てて基地を作り、ここは中国だと主張して周辺国に緊張をもたらしている(いわゆる戦狼外交)」と報道されているので、日本人の考える南沙諸島はこの辺り(ベトナムとフィリピンの間の南シナ海辺り)までなのではないでしょうか。

一方の中国では、教科書で「最南端は曽母暗沙(そうぼあんさ)である」と教えています。
この曽母暗沙は、南沙諸島というより、もはやボルネオ島沿岸です。
しかも、暗沙とは暗礁のことで、常に水没しています。
島でも環礁でもないところを領土と主張するんだから、なんというか、、、
ましてや、それを教科書に載せて子どもに教え込むとは、、、

実際、地図で見ると、マレーシア(サラワク州)からはわずか約80qであるのに対し、中国大陸からは約1,900qも離れています。
当然、マレーシアは、自国の排他的経済水域(EEZ)内の領土と主張しています。



retan03.jpg



では、中国の主張の根拠はどこにあるのか。
それは“中華民国時代に作製された地図に「九段線」とよばれるU字ラインの内側に曽母暗沙が明記されており、中国はその内部に歴史的に権益を持つ”としていることなのです。
この九段線、まるで“あかちんべえ”をしてベロを突き出しているかのごとく。
だから、別名『中国の赤い舌』と形容されているのです。



こうした南シナ海での中国の権益は、オランダ・ハーグの仲裁裁判所判決によって明確に否定されました。
そもそも、はなっから国際海洋法上、海に沈んでいる暗礁は領土と認められていません。
あの判決から早4年。
周辺国は摩擦が減ることを期待していたのに、良くなるどころか逆に、中国は最南端の領土保全を国民にアピールするため、益々、中国海軍の戦艦を派遣しています。
中国の教科書は判決後も相変わらず「曽母暗沙」と教えています。

日本においては、沖縄・尖閣諸島に艦船や民間船を侵入させる“嫌がらせ”が続いています。
台湾・ベトナム・フィリピン然り。
性質が悪いのは、コロナ禍に紛れて侵犯を続けていること。
最近はブータンでも国境問題を引き起こしています。



とうとう、ポンペオ米国務長官は苛立ちを隠せず、今月8日の記者会見では
「世界はこの“いじめ”を許すべきではない。」
と強調し、中国にキレていました。
一方、中国は即座に反応し、報道官や王毅外相は声を荒げてアメリカを批判していました。



retan02.jpg



アメリカでは大統領選を控えて、強いアメリカをアピールすべく、一層の中国批判を強めています。
周辺国をいじめる中国はまるでジャイアンのようですが、それを“口撃”するトランプさんもまるでジャイアン。
ジャイアンVSジャイアンの間に立つ菅日本は大変だ!


話しはちょっと脇に逸れますが、ワイドショーのあるコメンテーターがしたり顔で「菅総理では外交が心許ない」なんて言ってたけど、それは違うんじゃない!?
安倍さんだって、中曽根さんだって、最初はそう言われたけど、経験を積む中で他国の宰相と信頼関係を築いて外交に力を発揮したんだから。
イメージだけでその人の力量を決めるワイドショーって、どうなのよ?



赤い舌を益々広げようとする厄介なお隣さん。
米中の互いの高ぶるナショナリズムが、いつかひょんなことから摩擦を超えた“不測の事態”にエスカレートしないだろうか。

日本でも『空母いぶき』が現実になるようで空恐ろしい……



いつの日か、双方の学生の答えが、本当の意味で一致する日はやってくるのだろうか?


retan04.jpg




posted by るしあん at 16:30| Comment(0) | 日記

2020年09月17日

久しぶり


数か月ぶりに映画館に行ってきました。
規制解除後もなんとなく映画館に行くのをためらっていたのですが、どうしても観たい作品があって、、、
行ってみれば、席はかなり多めに空席が作られ(客はスカスカ)、換気もガンガンで(風で足が冷えた)、観客の手が触れる所はすべて消毒済みで、しっかりコロナ対策がされていて安心しました。


さて、肝心の映画の話し、、、
私がどうしても観たかったのは『海の上のピアニスト』。
監督はジュゼッペ・トルナトーレ。あの『ニュー・シネマ・パラダイス』の監督です。
豪華客船の中で生まれ、生涯船を降りることのなかったピアニストの物語。
ものすごい演奏に圧倒され、友情に涙し、ただ一度の恋にドキドキし、、、
ともかく感動の作品! イチオシです!!



umipia01.jpg



実はこの作品、1999年の映画なんです。
当時、観た時もすごく感動し、私にとって忘れられない名画でした。
それが、今年、約20年の時を経て、「4Kデジタル復刻版」、「イタリア完全版」として、再び劇場公開されたんです。
群馬では高崎イオンシネマで8月に「4Kデジタル復刻版」が、9月に「イタリア完全版」が上映されています。
8月は新盆や何やらで多忙を極め、気分的にも映画館に足を運べなくて「4Kデジタル復刻版」は観損ねてしまいましたが、昨夜ついに「イタリア完全版」を観ることができました。



umipia02.jpg



1999年の公開当時はインターナショナル版として40分がカットされていたのですが、「イタリア完全版」は演奏部分や会話部分などすべてノーカット。
完全な形での演奏シーンがどうしても観たかったんです。
おかげで上映時間は3時間を超えるものでしたが、感動の連続で3時間なんてあっという間です。



umipia03.jpg



主演のティム・ロスの演奏を観ながら昔世話になった先輩のことを思い出しました。
銀行員時代、席を並べていたTさん。真の姿はジャズ・ピアニストで、銀行には内緒で週末になるとジャズ・バーでピアノを演奏していました。
私たちの中東公演を喜んでくれ、太鼓の楽曲を譜面に起こしてくれたんです。
五線紙のヘッダーには「ROAD to SYRIA」、フッターには「TOSAKA MUSIC STUDIO」が印刷されていました。
テクニックを要するちょっと難しい曲でしたが、迫力があるので公演では必ず一曲目に叩いていました。“つかみ”はバッチリ!

Tさんも銀行を辞め、今はプロのジャズ・ピアニスト。
きっと、Tさんも『海の上のピアニスト』の復刻には涙を流したんだろうなあ!




残念ながら、『海の上のピアニスト』は今日で劇場公開は終了してしまいました。
機会があれば、是非、DVDでご覧になってください。






posted by るしあん at 16:33| Comment(0) | 日記

2020年09月15日

黒マスク


ニュースサイト「毎日デジタル」(9/11)によると、大阪なおみ選手の“黒マスクに込めたメッセージ”行動について、日本のスポンサー企業が“しかめっ面”をしているのだそう。
人種差別への抗議活動や議論とテニスは別にしてほしい、という思いが一部の企業にあるようだ、とのことです。

伝統的に議論、討論を嫌う(争いは避けたい)日本人の性質によるものなのか?
硬いイメージの政治に関わると、企業イメージが棄損するという古臭い企業体質の表れなのか?
それとも、“大阪なおみ選手=テニス”としか見ていないのか?

そもそも、テニスは彼女の一部であってすべてではないはず。
黒人の父と日本人の母を持ち、幼少の頃よりニューヨークで育った生い立ちや、彼女のアイデンティティー、その他諸々によって彼女という一人の人間が成り立っているわけで、、、

日本のスポンサー企業には彼女の発信するメッセージを含めて応援してほしいものです。



naomas01.jpg



さて、大阪選手の黒マスクに込めた『Black Lives Matter』。
日本では「黒人の命は大事だ」と直訳されています。
私は、かねてから「なんか、しっくりこないなあ」と思っていました。

私の敬愛する村上春樹先生も先月のラジオ番組で同じようなことをおっしゃっていて、、、
「私が訳すのなら『黒人だって生きている』。」のだそう。
村上文学の根底に流れる「人に対する優しさ」が表れていて、納得して聴いていました。



naomas02.jpg



白人警官に理不尽に殺されてしまった黒人ひとりひとりのお名前。
私は、こんな風に思いました。
“私だって普通に生きているひとりの人間。家族もいれば友人もいる。ただ普通に生きて、普通に生活しているんだよ。”
肌の色が違ったって、ひとりひとりがちゃんと生きている。


優勝インタビューで記者から「あのマスクにはどんなメッセージを込めたのですか?」と訊かれた大阪選手。
彼女の答えはこうでした。
「あなたはどのように感じましたか?」

かっこいい〜〜!



さてさて、あなたは大阪選手の黒マスクをどのように受け止めましたか?



posted by るしあん at 23:03| Comment(0) | 日記